我輩は猫である      腹打ち太鼓    


我輩は猫である。まだ名前は無い。

日本を代表する文豪、夏目漱石の代表作、我輩は猫である、の、もっとも有名な書き出し部分です、多分本を読まない方でもこの部分だけは知っているのではないかと思います。

時代は明治の真っ只中、文明開化により、欧米の文化が急速に浸透し、まさに、スーパーバブリー社会の全盛期だった頃・・・・

ちょんまげ?ふんどし?ダサイ、ダサイ、これからの時代はロン毛にブリーフよ、と、ばかりに欧米文化にかぶれる日本国民達。

そんな時代を生きてきた、漱石の社会に対する疑問や思想を野良猫の目線で斬りまくった力作だと思います。

そうです・・・時には動物と同じ目線に立ち、客観的に分析してみる事も生きていく上で必要な事なのかもしれません。

と、言う訳で、一匹の野良猫になりきってみる事にしました。

 

我輩は猫である。名前はまだ無い。

我輩はデブである。後ろ姿をよくタヌキと間違われる。

でもタヌキは同じネコ科の仲間だし、まあよかろう。

道路を横断してみた。自慢の太鼓腹が地面をこする。コールタールの臭い匂いと自分の体重で意識がモーローとしてきた。とりあえず先はまだあるし、疲れたから一休み、一休み・・・・

アスファルトの上にねっころがり、いつの間にかぐーぐー熟睡していた。すると・・・・キキキキキィィィィィィ!!!!!!

激しい物音に眼を覚ますと、黒塗りのベンツが我輩の目の前に現れたのである。「まぁ〜危ないわね〜道路のど真ん中で寝てるなんて、どこの動物園から脱走してきたタヌキかしら」

テカテカのファンデーションとド派手なマスカラをつけ、ボブサップのような中年女性が現れた。

「ママ、それはネコよ、まぁ〜〜つぶらな瞳の可愛いネコね♪」

おお!!こちらは黒髪ロングヘアーのブラボー美人!!アイドル時代の森高千里を彷彿させるマニア殺しの美形顔である。

千里ちゃんは我輩を抱き上げると、車に乗り込んだ。

千里ちゃんの爽やかな香水の香りとスベスベの太ももにウトウトしながらいつのまにか眠りこけていた。

きがつくと、タンスの上にいた。そこでも眠りこけていたらしい。無意識のうちに高い所に登ってしまうのは野良猫の習性なのかな、下を見下ろすと、ベットで千里ちゃんが眠っていた。

まさに、スケスケネグリジェから見える黒の下着がなんとも艶かしい・・・・セクシーだ・・・ブラボーすぎる!!!!

コーフンを抑えつつも、とりあえずタンスから降りておこう、と後ろ足を下に伸ばした瞬間、ズル!!!うお!!!!!!

タンスから落っこちたようだ。でも慌てることはない、どんな体制で落下しても、常に四本の足で着地できるのは猫に与えられた特権である!!ドボォォォ!!!ふぅ・・・ナイス着地♪

でも、着地に妙な違和感を感じる。足がなにかにめり込んでいるような気がした。ふと見ると、千里ちゃんが我輩の下でのけぞっていたのである。「うっ〜〜ぐぅっ」妙な声を出して苦悶の表情を浮かべているぞ・・・・う〜んこれは我々猫とは違う人間独特の求愛方法なのだろう。これには答えてやらなければ男の名折れ・・・・・おら!!ドス!!!!!ドス!!!!!

千里ちゃんの腹の上でデブの巨体を揺らしながら跳ね回った。

そのたびに、眉間にシワを寄せ、口をつぐんで鳴き声をあげる可愛い千里ちゃん・・・・・・

 

こうして、アバンチュールなひと時は、明け方までつづくのであった。